景色を取り込む

部屋に景色を取り込みましょう!

外部と一体となった窓辺お部屋の中に絵を飾って楽しむように、景色を取り込んでみませんか。
今回は窓によって風景が切り取られた、素敵なピクチャーウィンドウと呼ばれる窓をご紹介します。
ピクチャーウィンドウは、「はめ殺し」と言って多くは開かない窓なので、通風の目的ではなく、風景を眺めるために
設けられる窓です。本来人は視界が開けている方向や明るい方向に視線を向ける習性があります。
窓の外に目をやるというのは自然な行動なのです。その時に見える風景が絵のように美しかったら気持ちが癒されますよね。
そして室内から外部へ空間へと広がりができゆとりが感じられます。
いつも季節の移り変わりや一日の太陽の動きなど、 自然を感じながら暮らすことは気持ちに豊かさももたらすことでしょう。

外部と一体となった窓辺

さて、それではどんな風景をどのように切り取りましょうか。窓の外に坪庭のように美しく作られた庭や樹木や花等はもちろんのこと、もし山々が見えれば言うこ とありません。
でもそんなに綺麗な風景が外に広がっている環境って少ないものです。でも諦めないで下さい。お隣のお庭の木を借景させてもらっても良いので す!もし外に少しスペースがあれば、そこに玉砂利を敷いて竜のひげ等小さな植物を植えても素敵な演出になります。その場合、室内の床と地面がつながったよ うに見えるように、窓の位置は床ぎりぎりの低い位置に設けると良いでしょう。絵として切り取りたい部分のみに窓を設けるのがコツです。建物が敷地いっぱい ですぐ隣の建物という場合、空だって立派な絵になります!注意したいのは、外から人が覗き込めるような窓にしないことです。できるだけ静かな風景の方が落 ち着いた空間を作り易いと思います。道路に面した窓の場合は、何か一枚目隠しになる壁や木製のルーバー等を立てて、風景(絵)のバックとすると良いでしょう。場所は、玄関、廊下、リビング、トイレや浴室等、どこにつけても良いと思います。特にリビングや浴室など落ち着いて外を眺められるような場所に効果的です。又、ピクチャーウィンドウにはカーテン等を掛けて隠さず、できれば夜も外部に照明をつけ昼間とは違った夜の景色を楽しみたいものです。


窓の外を眺めるように置かれた家具)

最後に、那須の二期倶楽部というホスピタリティのあるホテルで出会った素敵なピクチャーウィンドウをご紹介致します。下の部屋はコテージの一室で、室内に絵は一枚も飾られておらず、大きな窓から見える風景が絵となっています。

窓の外には整然と作られた空間があり、その向こうに自然が広がっています。ソファや一人掛のリラックスチェアは窓の方に向けて置かれ、風景を見て過ごすよう なレイアウトになっていました。静かな景色が窓の外に広がっていることで、空間が外部と一体となり、室内の空間もゆっくりと時間が流れているように感じら れ、眺めているうちに穏やかな気持ちになったのを覚えています。

 ピクチャーウィンドウは癒しの窓と言ってもいいのかもしれませんね。

 

*この文章は板硝子協会「エコガラス」ホームページにて連載されたコラムを一部加筆、修正したものです。